ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

オープンソース コミュニティはニートを救えるか

これとかこれを読んでいると、自分がNEET予備軍だっていうのがよく分かる。暗鬱な未来ばかり考えていると、思考力は極めて低下するし、自分を処分するような勇気(というより意思の強さ)も無いので生きながらえる*1っていうのは実感があるし、なんちゃってメンヘラー経験もある。先のblogエントリみたいに、あそこまで明晰に自己分析できていて(つーか僕にはできません)、思考力が低下してってのは無いだろ、と思われる方もおられるかもしれないけど、Webで文章をまとめるのと人前で喋るのとではやっぱ違う(webの文章は気分が良いときに書ける)。個人的には、Webで明晰な文章が書ける方が財産的価値は高いんじゃないかと思うけど、そんなのは自分が求めている能力じゃなかったりするのだ。

そんなNEETな人たちでも、ゲームや読書や2chに没頭する以外に、その潜在的生産性を発揮できる場所がある、と僕は(本気で)考えている。それがオープンソース コミュニティだ。いや、正確に言えばコミュニティである必要はない。とは言っても、ソフトウェア開発できるNEETは少ないだろう(ていうかそれだけの技術力があれば就業できるだろう)けど、オープンソース開発は、NEETな生き方との親和性がある部分、あるいはNEETな生き方から脱却できる要素が少なくないと思う:

  • OSSを支えるサイドタスクは、それほど敷居が高くない。たとえば最近ちょっと触れていたドキュメントの翻訳なんかは比較的簡単だ(NEETの教育水準は高い)*2。僕がOSSに深く関わり始めたのは間違いなくmono projectにパッチを送りつけた2年前のあの日からだけど、それまでのwebサイトの日本語訳は、完全にひとりの殻に閉じこもって作っていたNEET的タスクそのものだ。翻訳みたいなサイドタスクから、興味を覚えてコーディングも勉強するようになればしめたものだ。この時点でNEETは立派なnewbieになる。
  • OSS開発は、個人の仕事のペースに合わせてやっていくことができる。実際には、最初に僕が考えていたのは、NEETではなくて家事の間の暇をもてあましている主婦層だったんだけど(コレを読むと、NEETカジテツもそんなに違わないんじゃないか、という気がますますしてくる)。OSSまわりの人の入れ替わり、立ち替わりは、最初から予想されているものだ(Miguel de Icazaは、OSSに興味をもって参加するハッカーも、だいたい2年くらいで抜けることが多い、と指摘していた)けど、NEET君ならこれはまず問題ない。ぴったりでしょう。
  • OSS開発への協力は、思い通りにいかなくなったり、めんどくさくなったら、いつでも引っ込むことができる(w とは言っても、余所目には上手くいっているようなプロジェクトだったり、何かしらの責任を抱えちゃったりしているプロジェクト(MorphyOneみたいな)だとそうもいかないけど。
  • OSSコミュニティは、作業をしてくれた人に感謝してくれる。NEETNEET的な暗澹から救い出してくれるのも、newbieがいっぱしのcoderになるために一番必要なのも、やっぱり自信じゃないかなぁと思うのだけど、これは、感謝されるような仕事をしているうちに、自然と身についてくると思う。ていうか、僕のコーディングスキルは、間違いなくmonoに参加して、地位を築くようになってから急速に伸びたと思う。地位を築くのは難しくない。まず「これだけは」っていう何か一つの事を極めて、点を線に、線を面に広げていけばいいと思う*3

…ていうかそういう方向で努力してもせいぜい僕程度にしかなれないんじゃしょうがないかね、はは。

もちろんこれだけでNEETの抱える心の暗闇が全部消えて無くなるわけではない。僕がよくirctalkしていたハッカーは、非常に高いスキルを持っていたのだけど、僕に自信の無さを打ち明けては暗澹たる気分に浸っていた(何でか知らないけど、僕は国内でも国外でもよくそういう相談を受ける。別に僕が心の闇を見せていたわけでもないのに)。もう30過ぎで職もないというのは、どうしようも無かったのだろう。いくら「いやいやあんたは技術もあるし大丈夫だよ」と言い続けて、最後には仕事をいくつか探し始めてくれたのだけど、多分上手く採用してもらえなかったのかもしれない。何がそうさせるのか分からないけど、公開の#monoでも陰気な溜息ばかりついていたので、ついに出入り禁止になってしまった。

…とまあ、変な事例を紹介してシメるのも何なので。僕がちょっと夢見ているのは、ニート君たちがぱらぱらとOSS開発に協力してくれたりすることだったりする。僕自身がそういうのを組織化して上手く廻せれば素晴らしい事なんだけどねぇ。似たような機能はsourceforge系のOSSポータルサイトでも提供されていたりするけれど、ちょっと僕が考えているものとは違う。プロジェクトによっては、伽藍モデルで進めたいと思っているものもあるだろう。この手の機能では、ユーザーがスキルを登録したりするものだけど、NEETは何も持っていないところから始めなければいけなかったりする。複数のプロジェクトを、人間系も含めて熟知していて、何かやりたいと言ってきた人を割り振れる管理者もいない(だろう)。

とりあえず今僕がそういう人たちにしてあげられることは、せいぜいmono hackingその他にチャレンジしようと思ってくれる人にヘルプすることくらいでしょうか(他のプロジェクトには詳しくないので…)。特に.NET 2.0まわりなんて、いくらでも新しい人たちに参入してもらいたいタスクはあるんです。陰鬱で退屈な日常を、どうにかすることが出来るかもしれませんよー。

*1:ADHDは治りかけが危険っていうアレとも関連しますな

*2:…あ、雇用側とのミスマッチの話を思い出して気付いたのだけど、もしかしてOSS開発なんてNEET自己実現としては全然物足りないのかな(w

*3:僕が最近C#コンパイラとかxml以外の部分をいじっているのは、そういう意図もあったりする。僕のスキルなんてSystem.Xml以外ではまだひよっこ同然なのだ。