ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

IP law bugfixes

…それでもなお寝付けない時は、来週までに上げないといけない知的財産法制度のあるべき姿を考えてみる。というわけで…

  • 著作権の保護期間の短縮
  • 公正使用規定の導入。公正な制度を作るのであれば、反対する理由は無いはず。
  • 特許の高度性の要件の厳格化。特許認定件数の上限を法律または政令で具体的に定める。
  • 著作権の登録制化。「権利の上に眠るものは保護されない」法の大原則の確認*1。さしあたり、経過措置として、一定期間は無償で登録できるものとする。経過後の更新登録は有償化。特に更新登録手続を煩雑化すればするほど、国内著作者にとっては有利になり、日本の競争力を高めることができる
  • 自らが著作権を有しない著作物や、著作物の要件を備えない創作に対して、著作権を主張する行為は、もともと対立当事者がいれば詐欺罪等を構成しうるが、そもそも社会法益を害するものであることを確認するため、具体的な被害者がいない場合でも犯罪として明確に処罰するべきである。
  • 独占禁止法の知的財産適用除外規定の廃止。
  • サブマリン特許等の問題を解決するため、知的財産権全般について「権利者がその権利侵害の存在を知っていながら権利を行使しなかった場合については、x年以内に権利行使しなかった場合については、その権利を行使できないものとする」といった規定を創設する(時効期間より短く設定)。これも「権利の上に眠るものは保護されない」原則の確認のひとつであるが、さらには産業社会の円滑な運営を保障することにもつながる。
  • 当然ながら、権利侵害の存在の認識の(←追記。重要なものが抜けてたうえに追記の場所も間違ってた)有無は、権利者の立証項目ではないが、音楽家が他人の音楽を模倣した「ものではないことを立証させられる」程度の負担は負わなければならない(「この業界の人間であれば、この音楽は知っていると見なしても良いはずである」という主張と、「この業界の人間であれば、このソフトウェアが自分の特許権に抵触することは知っていても良いはずである」という主張は本質的に同一である)。
  • 著作権法の規定にならい、プログラム言語、規約、解法は特許の対象とならないという確認規定を追加する。
  • カラオケボックスまたはそれに準ずるもの政令に定めるものは、不特定多数に対する演奏であるものとする」という規定を創設する。これによって、法の文理解釈上無理のある利用主体拡張論を採用することなく、法的に安定した根拠をもって著作権使用料の徴収が可能になる。
  • 知的財産権の信託を目的とする中間法人制度の創設。権利者に直接連絡することをしなくても、いざというときに権利者が適切に権利行使できるよう、著作物利用者が当該機関に対して信託を行うことができるようにする。利用料を前払いにするか後払いにするかは信託期間の任意運用。文化庁長官による裁定制度のみでは、産業のニーズを満足できているとは言い難く、補償制度たるべき知的財産制度を禁止権中心の制度にしてしまっている。

とりあえず30分強で思いついたものを全部挙げてみた。

もう少し追加してみよう。何かアイディアのある人がいたらコメントで書いてもらえれば考えます。

  • 著作権保護期間終了(←追記:これも抜けてた)の計算を創作の時から開始とする。これも経済学的にまっとうな判断のはず。
  • 法人著作の保護期間を20年程度にする。一般に法人の寿命は自然人よりも短いので、これでも十分に企業のインセンティブにはなる。*2

はぁ、こういう汚物掃除の仕事は、ホントにやりたくないんだよ…。こういうのを嫌な顔を見せずに(いや嫌々でも)積極的に動いてくれる方々には、本当に頭が下がります。

*1:当然ながら、知的財産権は「眠っていても保護される」生存権や思想の自由権とは全く性質が異なる

*2:「権利の運用」しか考えていないような有害無益なビジネスを排斥する意味でも重要