ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

宿題の準備(防御編)

ええと、とりあえず文面がそれなりに整っているIV-9のいくつかだけサンプル公開。

(12)

○公正使用の原則の確認規定の追加

公正使用は従前から著作権制度の大原則として存在しており、改めて明記するまでもないという見解が、従来は有力であった。しかし、著作権制度に対する信頼を回復するためには、著作権法自体が公正なものであることを国民に明示しなければならず、その意味では公正使用の概念を著作権法に盛り込むことが必須である。現行の著作権の制限規定の先頭に、一般条項としての公正使用条項を追加する。なお、公正使用はアメリ著作権法の基本原則でもある。

○「利用者の権利」を明確な原則として確認する

従来の著作権制度・著作権法学は、著作物の利用者保護について、何ら考慮することなく現在に至っている。このことは、著作物利用者の法的リスクを高め、他人の著作物を利用すれば済むところを、あえて同様の作品を創作させるという、文化的にも経済的にも意味のない生産をもたらしてきた。これが産業の発展を大いに阻害してきたことは言うまでもない。

そもそも古典的著作権法学では、「権利」のもたらす関係者(著作者、著作権者、利用者)間の力学的平衡・対立について、何ら考慮してこなかったが、拡大の一途を辿る著作権法改正が進むにつれて、この問題が浮き彫りになってきている。現行法を改正し、利用者に存在する権利について明確に言及しなければならない。

具体的には、(1)現行法で「著作権の制限」となっている第二章第五節を、「著作物利用者の権利」という章題に改める、(2)知的財産基本法に、「著作物利用者の権利を尊重する」旨、二十一条の二として明確に規定すべきである。

(13)

○30条1項2号の廃止

現行の著作権法では、30条1項2号において、技術的保護手段を施した著作物について、私的使用のための複製の制限の対象外としているが、私的使用のための複製について著作権が制限されるべき理由は何ら存在しない。従来、この規定が導入された背景には、技術的保護手段には相応のコストが伴うため、これを著作権法で保護する必要がある、という主張がなされていたが、これは現在ではふたつの意味で間違っていると考えられる。

まず、技術的保護手段は、何ら創作性に寄与する概念ではない以上、著作権の対象範囲を拡大する理由にはならないところ、私的使用複製の制限範囲を狭めることは、実際には権利の拡大にのみ繋がっており、何ら妥当な理由が存在しないと考えるべきである。むしろ、コピー機やファックスや情報通信が、経済の発展にどれだけ貢献してきたかを考えれば、技術的保護手段を用いて自らの著作物の利用を制限する行為には、「著作権を」制限することによって相応の対価が要求されるべきであるとすら言える。

次に、当該規定が成立した20世紀とは異なり、現代では技術的保護手段を実現するさまざまなソフトウェアが存在し、技術的保護手段はきわめて安価に実現することができる。21世紀の現代において、当該規定はもはや時代遅れであり、むしろマイナス面のみが目立つようになっていることから、当該30条1項2号は廃止すべきである。

他にも9-2)からi), iii), iv), vi)はまあ間違いなく言及しますが。