ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

Google Mapと「写真の著作物」

最近Google Mapを見ていて非常に気になったことがある。それは、単なる機械的衛星写真に対して、Google社が著作権を主張していることだ。何もない土地でGoogle Mapの写真を眺めてみると、©2005 Googleみたいなステガノグラフィが施されていることに気付くだろう。

写真というものは、写真であるというだけでは著作物にはならない。被写体を撮影する角度、光の当て方など、様々な創意工夫が認められなければ、著作物の定義には合致しないのである。衛星写真というものは単なる機械的な撮影だから、著作権が発生することなどあり得ないのである(曇っているときは撮らない等の考慮が働いているのは、技術的に考えて当たり前のことであって、芸術的な意味での創作性とは無関係である)。

一方、データベースとしての創作性があるかというと、緯度・経度情報を含む衛星写真の集合をもとに、地図をコンピュータ上に再現する他の方法があれば別だが、そうでなければ、素材の選択や体系的な構成に創作性があるとは言えないであろう。Google MapのJavascriptについてはよく知らないので、そのクエリコードに創作性があると認められれば、それはプログラムの著作物として認められる可能性は大いにあるが、それでも個々のデータに対する著作権が認められるわけではないので、クエリ結果である写真に対して著作権表示がなされるとしたら、それは日本法とは相容れないものであろう。

(もちろん、写真と違って地図には通常は著作物性が認められているので、Google Localについてはこの話は当てはまらない。)