ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

実は書き換えられていたMicrosoft Permissive License

内容的には本家とクロスポスト

Microsoft Permissive Licenseと言えば、昨年Microsoftが簡素化したライセンスの3本のうちのひとつで、オープンソースの定義にもほぼ準拠するのではないかと言われていたものだ。

今日、Mono 1.1.16で動くようになったと言われているPersonal Web Starter Kitsを動かそうとして眺めてみたら、.vsiしか置いてないんですよ。解凍したらzipだし、アフォか?と思って、MS-PLなんだから当然分解して再配布はOKだよね*1と思いながらライセンスを眺めてみたら

(B) Platform Limitation- The licenses granted in sections 2(A) & 2(B) extend only to the software or derivative works that you create that run on a Microsoft Windows operating system product.

とか書いてあるんですよ。アレ? こんなライセンスを見てオープンソースな連中がOSD準拠だなんて言うわけないじゃん、まさか書き換えられていたりしねえよな…とか思いながら、前記OTPの記事のリンク先のMS-PLを見てみると…何とビックリ、というわけです。

ほとんどの人は、MS-PLってライセンスに書いてあれば、最初にリンクされた奴のことだと思って信用するだろう。「このソフトウェアはGNU Public Licenseの下で配布されています。」って書いてあったら、そのソフトはGPLでリリースされていると思うだろう。まさか上記リンクがMS-PLへのリンクだとは思うまい。

いや、MS-PLライセンスがクリアでライトなものになったというのはあくまでニュースサイトの飛ばし記事に過ぎなくて、Microsoftはそんなこと一度も言ってないんじゃないか、虚偽広告の実行行為に積極的に関与していはいないのではないか…と疑って、microsoft.comのページを調べてみたら、こんなのが:

A. (略) Microsoft is making it easier for developers all over the world to get its source code under licenses that are simple, predictable, and easy to understand. Microsoft has drafted three primary licenses for all Shared Source releases: the Microsoft Permissive License (Ms-PL), the Microsoft Community License (Ms-CL), and the Microsoft Reference License (Ms-RL). Each is designed to meet a specific set of developer, customer, or business requirements. To learn more about the licenses, please review the Shared Source Licenses overview.

ちなみにこの段落の前には、従来600近くもライセンスがあった、ということが説明されている。

さて、これは不公正な取引方法(欺瞞的顧客誘引)として扱われるべきか否か。もしこのような行為が欺瞞的顧客誘引ではないとされたら、上記のような無関係なライセンスへのリンクが適法だということになって、市場の混乱を招くことは必須であろう。一方で、欺瞞的顧客誘引であるとされた場合、全てのライセンサーはライセンスの改訂履歴を維持しておかなければならなくなるだろう。もっとも、そうなった場合でも、SOX法の適用対象のみを取り締まれば十分に効果が得られるようにも思える。いずれにしろ事業者でなければ独占禁止法の取り締まり対象ではないのだけど。*2

まあ、そんなわけで、水曜日も、Personal Web Starter Kitsを動かしてみることはしません。

*1:全然関係ないんだけど、真紀奈たんのDerivative Only Licenseに僕が懸念を示しているのはこういうケースがあるから

*2:個人的には、むしろ個人こそ規制対象としなければ、個人で開発しているソフトウェアのライセンスに対する信頼のみが損なわれることになり、むしろF/OSSの発展の妨げになるであろうとも考えるが。