文化庁文化審議会の報告書のレベルが高い件
明日がパブリックコメントの締切となっている 「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」に対する意見募集と関係する話。
上記リンク先では、議事録はPDFでリンクされているのですが、こちらにはHTMLページが置いてあります。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/06073103/002.htm
僕がかつてパブリックコメントにおいて、無効な契約類型について意見を書いて投げたことがあるのですが(確か無効である旨、確認規定をおこう、とか、そんな趣旨だったと思います。うろ覚え)、それを具体的に議論した結果とも言えるでしょう。
今回の文化審議会の資料はかなり「まとも」なものになっていて、読み応えがあります。僕はその結論を必ずしも支持するところではありませんが、重要な問題を真剣に扱っているという点を、まずはポジティブに評価すべきであろうと考えます。知財本部コンテンツWGの資料のレベルの低さとは比べものになりません。
4.個別条項の検討(3)データベース のセクションには、次のような記述があります。
データベースの利用契約においては、法令や事実情報など、著作権の対象とならない個々のデータについて、その複製や公衆送信を制限するような条項がみられる。ここでは、そもそも著作権の対象とならないものについて、あたかも著作権があるようにその利用を制限することが認められるかどうかが問題となる。
このような条項については、不正競争の防止という観点から合理性があるものについては、基本的には、有効と考えられる。ただし、当該条項の内容に合理的な理由がない場合や、合理的な理由があったとしても、例えば「表現の自由」等のその他の利益を総合的に勘案して、対象となる情報の使用を制限した場合に損なわれる法益のほうが大きいと判断されるのであれば、無効とすべき場合もあるとの意見が大勢を占めた。
法益とは法律上の利益のことで、改正民法709条における「権利または法律上の利益」という要件を具体的に満たすものです。
ところで、パブリックコメントとして書くべき事があるとしたら、それはGoogleのビジネスを可能にしているフェアユース規定の欠落についてでしょう。これは全く議事録に残っていません。僕らがなすべきことは、Googleキャッシュを「cacheと自称する」などとシュッシュすることではなく*1、フェアユースを可能にする環境を早急に整備することだと思います。そうしないと、情報大航海プロジェクトだって絶対に実現できないでしょう。