ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

SUSE以外への影響は良くも悪くも無いのれす

ものすごく分かりやすくまとまっているのでおすすめ
http://opentechpress.jp/~mhatta/journal/413

いやホントに分かりやすいから。これが理解できなかったら、多分この問題をまともに論じることは出来ないと思う。

で、コレを読むと釈然としないと思うので(w 少しだけ補足しておこう。

「エンドユーザ顧客(end-user customers)」というのがようするに誰なのかはっきりしないのだが、「直接的あるいは間接的に収益を得る」というくだりを最大限好意的に解釈すれば、とりあえずDebianのような他のGNU/Linuxディストロ、あるいはDebianが頒布する Monoのユーザである私のような非SuSEユーザの一般ライセンシーが該当するのではないかと思う。Novellにバグ報告でもすりゃもっといいのかな。

他のdistroでMono等を使用しているだけでend-user costomers扱いされるとは考えにくい*1。僕も詳しい協定内容は知らないが、対象はMonoなど個別のパッケージのエンドユーザーではなく(Open)SUSEのエンドユーザーなのではなかろうか。いずれにしろNovellは特許による汚染を意図してはいない。

というわけでバグ報告してくらさい(w *2

そもそもMSの特許は侵害しない、していないというのになぜNovellがこのような協定を結ぶ必要があったのかもよく分からないが

特許権を侵害していない、というのは、Novellがあくまで特許権侵害の悪意はないということであり、今回の協定が無ければ、現存する、あるいは将来開発するコードにおける、将来的な特許権侵害の発見とその対応については、一部顧客(MicrosoftSUSEを推薦されてくるような顧客)にとっては安心とは言えないということでしょう。

って、もしかして今回の提携によってMSがSUSEを推奨する、っていうことになっている、ということが忘れられているかも。SUSEの売り上げに応じて、というのは、そういう計算があるからじゃないかな。

素直に読めば、企業の仕事で給料をもらってFLOSSをハックしている人は(もちろんOpenSuseの開発者は別として)皆アウトであろう。そうすると話はまた振り出しに戻ってしまう。ということで、例外の内容が明らかになるまで、この問題からはまだまだ目が離せない。

まず、(Open)SUSEのcontributorとend user以外については、僕はこの協定は何もカバーしていないと思う。そして余所の企業が権利侵害訴訟を回避するためにSUSEのend userになっても、それは対象とはしませんよ、っていうことなんだろう。これが合理的と言えるのかどうかは、僕には何とも言えない。本能的にはそんな例外条項は不要だ、と言いたくなるが、Eolasみたいな特許頃はこの例外条項が無ければ簡単に訴訟を回避できてしまうだろうとも思う。

いずれにしろ、Novell FAQの内容は例外条項の内容によって「振り出しに戻ってしまう」ものではない。この「振り出しに戻ってしまう」というのは、この例外条項に該当する人、たぶんcommercial developersが、SUSEのend userあるいはcontributorになっても意味が無いのではないか、という意味。

そういえば、誰かがかなり初期の時点で、独占禁止法に関する審査をした方が良いのではないか、とか書いていたような気がするのだけど、それは厳格に審査すべきだと僕も思う。特にMicrosoftは2010年までSUSE以外のdistroとは提携しないとする条項は、排他的協定と見なされる可能性も無くはないと思う。協定を全部無効にするような内容ではないけれど。

さて、そろそろこの問題は収拾がついたのではないかな。Eben MoglenがNovellオフィスを訪問して契約を精査したところで、何も意味のあることは言えないと僕は思っている。多分このことについて詳しく書いた文章をうpする必要は無いだろう。

追記: この提携で他のDebian/UbuntuGentooみたいなdistroのパイが小さくなったら困るじゃないか、っていう話もあったのだけど(笑)、僕はその辺とNovellとでは客層が全然違うんじゃないかと思う。Novellが既存のdistroの市場に影響を与えるとしたら、せいぜいRed Hat顧客だった人たちが、何か協定の意味を勘違いしてNovellにやってくるとか、そのくらいなんじゃなかろうか。大多数はそもそも「Linux導入について、社内で検討した結果、最終的には消極的な結論になった」みたいな企業顧客ではないかと想像する。何かMonoみたいだな(w 大多数として流れ込んでくるのは、伝統的なhacker dudeではなく.NETユーザー、みたいな。

*1:僕らが判断主体になるのだと断言できるなら、問題ないと言わせてもらいたいところだけど、たぶん判断主体については合意がないので、裁判所(争いになった場合)が当事者同士の利益衡量の下に判断することになるだろうな

*2:後述の例外条項次第では、これは完全に釣りであるw