ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

二階建てすら必要ない、か

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070121/117338/

山形氏が保護期間は「創作から5年」で十分と言い切っている。その背景には、

 ところが今は、誰でも文章を書いてネットで発表できる。もちろん川上弘美の『真鶴』のような衝撃的な作品は誰にでも書けるわけじゃない。でも世の中、ほとんどの場合にはいちいち川上弘美にご登場いただかなくても用が足りるのだ。世に商業的に氾濫している文章のほとんどは素人以下の埋め草だが、素人作品であっても『電車男』のように下手なプロが書くよりよっぽど面白い場合も多い。写真だって、プロに頼まずとも素人のケータイ写真ですむ場合は多いし、その方がかえっていいこともある。かつては高度な専門家しか手がけられなかった百科事典だって、Wikipedia のように名も知れぬ素人の寄り合い所帯でそこそこの水準のものが書けるようになった。下手な芸人が騒ぐバラエティーより、YouTubeにアップされたペプシコーラメントスを使った素人いたずらビデオの方が、よっぽど笑えて楽しかったりする。

基本的な著作物の基本単価、あるいは著作者の実質的な価値が低くなっていることがある。さすがにこれは誰もが体感している事実であろう。作家がお互いにエライと言い合うことで自分たちの価値を吊り上げることができた時代はもう終わった。

さて、↑に対する反応で興味深いものがひとつ。

http://ameblo.jp/meme-meme/entry-10024109936.html

山形氏がネタや釣りで国民会議を盛り上げるメリットなんて何も無いだろうということはさておき*1、上記エントリでは

「例外的なコンテンツ」を著作権法とは別に処理でき、そうでないものと区別できる法を考えてみよう、ということではないか。

つまり欧米に追従して70年にするのでもなく、かといって、延長にただ反対するだけの野党の戯れ言でもなく、一からオリジナルを作ればよいだろう?ということだ。(個人的にはこれは憲法も同じと考えていて、憲法改正には反対である)

自分の意見としては、創作後10年で著作権は切れるが、延長したい者は特許同様に委託・申請式(著作特許権みたく)にして、作者が生きていようと死んでいようと創作から50年までなら更新可能に(ただし特許同様に10年ごとに管理費がかかるように)すればよいだろう。

と消化している。山形氏の記事へのコメントを見た感じでも、国民の基本的な合意は、どうやらこの辺りで形成されていくことになりそうだと感じる。

で、こういう発想を前提にして、かつWIPOと整合性の取れるやり方を採ろうというのが例によって二階建て法案なのだけど、そもそも一階をそういう制度にしてしまおう、という流れが確立するのであれば、それを並行して進めても良いだろうな、と思う。やはり行政はWIPO(少なくとも著作権保護期間に関する合意)を撤廃する目標で外交を行い、条約の改正とともに著作権保護期間を短縮するものとする「WIPO改廃基本法」は必要ではないか。

万が一、文化庁にその役割を担うことが期待できないのだとしたら、他にも適切な省庁が存在するかもしれない。

*1:何で?と思ったら、池田信夫氏が国民会議について書いたエントリを読んでみるといい