ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

著作権保護期間延長論者は旧定期借地権の弊害から学ぶべき

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070903/281069/

 三田誠広委員は、「谷崎潤一郎江戸川乱歩横山大観などはあと数年で保護期間が切れる。彼らの遺族が受け取る著作権使用料は、それぞれ年間100万円を超える額だ。これらが突然切れるのはショッキングなこと。遺族の権利を守りたいし、それが作家のインセンティブ向上をもたらす」と、従来の主張を繰り返した。

こういう発言を見て思い出すのは、平成3年公布の新借地借家法に関して起こった議論である。いったん土地を貸してしまうと、正当な理由がない限り契約が終了できず、法的に安定的に土地を取り戻すことが事実上不可能であるということで、最初から定期借地権が50年でその後は自動更新されないという明確なモデルに移行したわけである。

著作権の保護期間満了は予定されているというのに、これが満了して金が入ってこなくなったら困るという主張は、借家人は50年もの長い間居座っていたら、自分の土地と同様に家を建て替えながら*1生活し続けて、結局50年後に困ることになる、という主張と、同質のものだ。どちらが法的に正しい主張であるかは、また明確であるかは、言うまでもない。

ここで著作権保護期間を中途半端に延長したら、結局は旧借地借家法と同様のgdgdな制度になってしまうであろう。

*1:旧法と異なり、建て替えによる更新は無い