ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

薬のネット販売禁止の是非を問うパブリックコメントにこたえた

薬事法関係のパブリックコメント、タイミングを逃した感はありますが一応載せておきます。今日いっぱいなので書いていない人は書くといいよ!

MIAUのやつは今回は私は書いていないので、だいぶトーンが違うはず。まあ同じことを書いても仕方ないので。輸入がどうこうというのは書き方によってはやぶ蛇になるので、ちゃんと海外に正当性をアピールして失笑を買いなさい、というベクトルで書いておいた。

該当箇所
1.改正の趣旨

意見内容
薬害対策の名目で、世界的に承認されていない「対面販売の原則」を作出して、国民全体の医療厚生を犠牲にすることは、本末転倒であり、本件省令改正は行うべきではない

理由
医薬品の購入機会を削ぐということは、それだけ国民全体の医療水準が低下するということであり、適時に医薬品を入手できなくなることで、適切な薬品が入手出来ないようにするという(不作為犯としての)「薬害」が拡大するという視点が、本件にかかる議論では完全に抜け落ちている。医療における「安全」は、薬害が生じないかどうかという局所的な問題ではない。

ネット販売で規制され販売されなくなる医薬品が2/3も減少すると、それまでネットで購入していた多忙な社会人については、必ずしも必要ではない医薬品を単に購入しなくなる例が増えると考えられる(風邪薬を飲まずに完治するのを待つ等)。この問題は、風邪など症状がはっきり見られるものよりも、妊娠検査薬などで大きく拡大するものと思われる。この早期発見が遅れることになれば、女性の厚生は大きく害されることになると考えられる。

そもそも「対面販売の原則」なるものは、世界的に言えば全く承認されていないご都合主義な主張であると考える。そのような原則が本当にあるのであれば、今後海外からの個人輸入が拡大するであろうから、日本の厚生労働省そして同原則を主張する事業者は、アメリカをはじめとするネット販売国に対して強く主張するべきであるし、WHOなど関連機関に対しても強く主張するべきではないか。それが出来ないということはどういうことなのか、考えてみるべきである。

規制導入を望む意見の中には、ネット販売が必要となるような要介護者には、通常は介護者がいるはずだと主張するものもあるが、要介護者が自らがかかえる病気のすべてを介護者に報告しなければならないと考えていることに他ならず、医療個人情報保護の観点から言えば大変不適切な発想であると考える。

該当箇所
1.改正の趣旨

意見内容
適切な関係者を適切な配分で審議に参加させるべきである。

理由
今回のネット販売規制の意思決定については、楽天、ヤフー、ケンコーコムなど各種ネット販売事業者が全く審議の場に呼ばれていない。審議内容が固まった段になってようやく楽天から1人だけ審議に参加しているが、これではほぼ意味が無い。

また、消費者団体の代表として参加している者も、ネットにおける消費者の声を見る限りでは、到底消費者の声を代表しているとは言えず、単に旧世代の反資本主義・反営利企業的消費者「運動」の代表にすぎないように見える。われわれ消費者は、たとえばパソコンを無料配布するOne Laptop Per Childというビジネスモデルを歓迎し、医薬品についても類似のビジネスモデルが実現すれば歓迎するが、阿南久全国消費者団体連絡会事務局長の主張はこれと反するこ
とになる。旧世代の消費者とは別に、ネットを活用するモダンな消費者等の代表が審議に参画すべきであろう。

薬害被害者の団体についても同様のことが言える。今回の件について、薬害エイズ団体は「明確に」ネット規制に反対の意見を主張している。

該当箇所
2.継続使用者に対する経過措置

意見内容
離島の住人、継続使用者に限定して経過措置を認めるというのは、実質的に経過措置が無いに等しく、安全な販売対策ガイドラインの策定とその遵守要請をもって替えるべきである

理由
医薬品をネットで購入する際に、特定の医薬品を特定のサイトで購入するということを消費者は全く念頭に置いていない。そもそも信用出来るサイトとそうでないサイトがあるという前提があるのであれば、信用出来るサイトからの販売を規制すること自体が妥当性を欠き、また信用出来るサイトから他の医薬品を購入出来ないとする合理的な理由は存在しない。