ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

XamarinがMonoの権利をほぼ全て獲得

暇なのでふらふらと渡米してボストンに遊びに来ています。いや元々4月くらいから行く予定だったんですけど。

XamarinがNovell/Attachmateからmonoと関連製品に関するライセンスをサポート契約付きで譲り受けました。これはすごいニュース。
http://tirania.org/blog/archive/2011/Jul-18.html
http://blog.xamarin.com/2011/07/18/first-press-release/

今回の話を簡潔にまとめると、NovellはAttachmateに買収されて、AttachmateはMonoチームを(わたしを含め)クビにしてリソースをほぼゼロにしたのだけど、Monoの権利は引き続き保持していたわけです。Hudsonの権利を持ち続けるOracleみたいな状態だったわけですね。それが今回、SUSEのライセンス購入者にも引き続きMonoのサポートを提供するという条件で、Monoのビジネスをほぼこれまで通りに継続できるかたちで譲り受けることに成功した、というわけです。*1

今回の交渉を成功させたのはCEOのNat。おそろしい手腕の持ち主です。AttachmateでMonoをメンテナンスすることになっていたのはSUSEで(まあ明らかに不可能だったでしょう*2)、彼らの一部は "very emotional" だったそうですが*3、今回のような誰も損をしない条件を出すことで、上手くまとめあげたわけですね。特に、MonoTouchやMono for Androidの有償サポートは損害賠償訴訟にも繋がりうるもので、そのリスクを冒してまでライセンスを持っている理由は、Attachmateには無かったことでしょう。

一方的にレイオフされても全くへこたれたり怨恨に流されることなく、ほんの2ヶ月で会社を立ち上げて、オフィスをセットアップして、雇用を確保して、Attachmateと対等のパートナーとしてビジネスを成功させているXamarinのポテンシャルには、アウトサイダーとして感嘆させられるばかりです。

今週末にはMonospace Conferenceも開かれるのですが、(レイオフで差し支えて全員ではありませんが)多くのチームメンバーが参加することになるでしょう。

あ、ちなみにわたしは8月からXamarinにjoinしてAndroid製品の開発に参加する予定です。

*1:ほぼ、というのは、これまでの顧客サポート用のバグ情報などは引き継げない、とか、細かい部分の話です。

*2:一般的なLinux系のコンポーネントと全然違うし、C#読み書き出来ないだろうし

*3:好ましくないことですが、あちら側には、KDE陣営にあって、GNOMEを設立した彼らの失敗を望む者もいたということでしょう