たぬき・むじな事件
まず、コレがなかなかイイ感じ。たぬき・むじな事件というのは、大審院判例大正14年6月9日(刑集4巻378頁)の通称で、刑法を勉強したことのある人なら、むささび・もま事件と対照的に、事実の錯誤として処理された事案として知っているものです。事実の錯誤って言うと見方が偏っているかな。事実の錯誤、違法性の錯誤あるいは故意の不存在ということで…
で、いま故意と違法性の意識を読んでいるんだけど、これによると、このたぬき・むじな事件に対する学者の反応は
- 違法性の意識を欠き故意がない
- 厳格故意説 (滝川幸辰・大塚)
- 違法性の過失故意犯準拠説 (宮本英脩)
- 自然犯・法定犯区別説 (牧野、木村)
- 違法性の意識の可能性を欠き責任がない : 制限故意説 (団藤)
- 禁漁獣であるという意味の認識がない
- 違法性の過失故意犯準拠説 (草野)
- 責任説 (吉田常次郎)
- (萩原玉味)
- たぬきであるという意味の認識がない
- 制限故意説 (井上、日沖)
- 責任説 (平野、川端)
- 構成要件上の概念による認識を欠き故意がない : 江家
- 違法性の意識の喚起機能を持つ事実の認識を欠き故意がない
- 制限故意説 (藤木)
- 責任説 (西原)
という感じだったらしい。いやはや、バラエティに富んでいますな。