ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

昨日ちょうどロージナ霞ヶ関茶会で話をしていたので、これまたちょうどavexが商標出願を取り下げたのまネコflash問題について、思うところをまとめてみる。僕は積極的に調べていたわけではないので、聞いてきた話はいろいろと参考になった。ただ、茶会の最中ずっとBGMでマイアヒーが流れていたので耳から離れない。まるで自分探しの間中流れ続けるガンダーラのようだ。

まず、今回の騒動は結局、フツーに考えたら金儲けに繋がらない、わた氏のようなflash作者のところに利益が還流するという可能性を秘めたビジネスモデルが、avexのせこいビジネスモデル*1と結局2ちゃんねらーの「おれたちのモナーで金儲けするなどけしからん」というよく分からん主張のせいで、潰されてしまっただけだったのではないか、という気がしている。

もったいないな、と思う。flashアニメの作成っていうのは、素人が簡単に人気コンテンツを作って広めることが出来るもので、ブログ(片仮名)と同じくらい庶民サイドでお気楽に作れるものではないかと思うのだ。真鍋かをりがあそこだけの話で最近やたらflashネタをプッシュしているのも、ブログと同質の可能性を感じているからではないか*2

なぜavexは受け容れられなかったのか、という点は今回の議論の中心でもあったのだけど、これはシンプルな解答にはならないと思う。avexは別に誰もモナー著作権など主張できないという事実を悪用して共有地を奪い取ろうとしたわけではない(やろうと思えば出来た)という事実を踏まえると、ふたつの暗い可能性がある。ひとつは、ねらーはキャラクターに著作権がある(つまりavexは実際には誰かがモナーの著作者であると主張してクレームをつける可能性が低いと踏んで著作権を侵害した)と思いこんでいるのではないかという読み*3。もうひとつは、ねらーはモナーを使って「利益を上げること」自体がけしからんと思っているのではないか、という読みだ。

前者は、やはりバランスの取れた著作権教育を怠った文化庁が一番責任重大かな、という気がしている。著作権教育には改革が必要だろう。後者は…時間が解決する問題かな、という気もしている。というのは、フリーソフトの世界で、似たような土壌が崩壊していく好ましい有様を見てきているからだ。僕がMS-DOSで遊んでいた頃は、フリーソフトといってもソースを公開しているものは少なく、また「営利目的での利用は禁止します」というものが非常に多かった*4のだけど、オープンソース/フリーソフトウェアが浸透してきて、最近は少なくなってきたように思う。

残念ながらフリーソフトの世界以外、たとえば素材サイトなどでは、まだまだ意識が低い。まだクリエイティブコモンズなどは始まったばかりなので、これが浸透してくれば、この辺の作者の意識も変わってくるだろうと僕は思っている。

*1:彼女の所には結局ほとんど還元されないような契約で奪い取ったり、ダミー会社みたいなのをかませてみたりとか、余裕こいてする事ではなかったはずだ。ケツまくって逃げたのはしょうがないとはいえ、ややみっともなかった。

*2:そういえば、鈴木C謙介氏が応援しているのを見たときは驚いた。彼女が彼女なりのsotial hackingをしていると思っている人はきっと他にもいるだろうな。

*3:この応用で、もし本当に著作者が出てきたら、権利を買ってしまえばいいと思っていたかも知れない、いう読みもある

*4:そんな中で著作者と連絡が取れなかったものまでCD-ROMに収録して「中身はコピー自由です」と言って販売していたベクターデザイン(当時)は、ある意味現在の電車男に代表される「作者不詳コンテンツ商売」の先駆者だったと思う。法的にはavexよりもはるかにチャレンジングな商売だ。