つづき
月曜になったので、日本でもMS/Novellネタを取り上げるニュースが出てきた。とりあえずITMediaとcnetは単なるプレスリリースのコピーなのでスルーするとして、以下の記事はむしろRed Hatの反応を主に取り上げている。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/USNEWS/20061106/252612/
ただし別のメディア(InfoWorld)によると,懸念を示すLinux支持者が多いなかで,Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏は自信を見せたという。同メディアはTorvalds氏の「私は楽天家でありたいし,誰とも敵対せずに済む道を喜んで選ぶ。よい結果が得られるまでの成り行きを見守ろう」というコメントを伝えた。
別に嬉しいことではないが、今回のLinus Torvaldsの反応は僕のそれとやや近い。事件性がない=法律上の争訟にならない限り問題は生じないし、Microsoftが法律上の争訟にすることはない(出来ない)、というのが(前回も書いたとおり)僕の理解だ。
事件性がない、という特徴は、そのままNovellはGPL違反を犯しているのではないか、という主張に対する批判にもなる。
http://opentechpress.jp/~mhatta/journal/407
私はあの話の本質的な争点は、NovellによるGPL違反だと思っている。
コレは正しい(いや、主観的な問題だから「妥当な評価だ」と言うべきかな)。が、
で、Novellがやろうとしているのはまさにこの段落の第三センテンス、「例えば特許ライセンスが〜」である。
コレは正しくない。NovellはMS patentedなコンポーネントをGPLなプロダクトに取り込んで頒布する、なんて言っていない。現にMiguelはMonoにはMS特許に抵触するようなコードは入れない、と明言している。これはRed Hatがこの提携話を受けてさり気なく加えたと言われる知的財産防御プログラムの追加条項と、全く同一のものだ。何もRed Hatが特別に優れているということは無い。*1
GPL7条違反を主張するには、どのコードがGPLによって配布「できない」のかを明確にする必要があろう。商用ライセンスとGPLのデュアルライセンスが禁止されていないのと同様に、特許相互不可侵の約束があるというだけでは、GPL違反になろうはずがないのである。その意味ではEben Moglenの
「GPLソフトウエアの配布権に対し,ロイヤルティの支払いを要求するような合意を結ぶと,そのソフトはGPLを適用して配布できなくなる可能性がある」という発言は、現実に起こるとは考えにくい問題を問題視しているという点で、好ましくないと僕は考える。