これで著作権の「適切な」保護期間の議論を行うことができる
http://slashdot.jp/articles/07/01/05/161231.shtml
その中でリンクされているので気づいた。
http://00089025.blog8.fc2.com/blog-entry-303.html
どれくらいの著作権保護期間であれば適切か、という議論に際しては、逸失されていく著作物の問題というのは、本質的な論点ではなかったはずだ。電子情報のレベルで言えば、知的財産(知的財産権のことではない!)は作成後5年にも満たないうちにネットから消滅しているのが現実である。この法律が成立すれば、逸失されていく著作物の問題とは無関係に、著作権の保護期間は縮小され短縮されて然るべきなのである、という議論が出来る。
ということを前提として、強制利用制度の採否について論じなければならない。個人的には、かえって保護期間延長の布石として悪用されるから反対という論を張るよりは、著作権保護期間短縮について本来の立場(経済学的分析に基づく主張など)を基本としておくべきだと思う。
(国内の立法案と矛盾する有害な条約が存在するのであれば、条約の破棄を目指す立法を基本法として立て、条約の改廃と同時に保護期間を短縮する旨立法しておけばよい。)
(関係ないが、いったん公開した著作物について公開を撤回して利用を禁止する権利など著作権法には存在しないのだから、公開を撤回した著作物が世に出回らない仕組みは、著作権の観点では不要である。こういう発想は、著作者人格権における公表権についての勘違いから出てくるのだと思われる。)
追記: 著作権保護期間が満了する時点で制限を解除するような設計になっていないDRMシステムは排斥するよう、法律上の要件としておく必要はあるかもしれない。少なくとも、事実と異なる権利表示は違法であるということを、当該立法関係者にはしっかり認識させておいた方が良いだろう。
知的財産諸制度のメリット、デメリットについては、先日紹介したスティグリッツの最新刊(訳)が、下記の専門書と同じような議論をまとめている、ようだ。保護期間のあり方についても言及されている。
Foundations of Economic Analysis of Law
- 作者: Steven Shavell
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この前本家Mono meetingに行ったときにHarvardで売ってたのだけど、まだほとんど読めていない。高価な書籍なので読みたい人が居たら貸します。