ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

状態犯と継続犯

ふらっとスペイン語を勉強してみようと思って、入門書みたいなのを眺めていたわけである。be動詞みたいなのが2つあって、serが永続的な状態、estarが一時的な状態だという。serializationのserって、そういう意味だったんだな。ちょこっとだけ賢くなった気になった。

で、ついでにちらっと気になって、林美月子の状態犯と継続犯を読んだのだけど、どうも、この辺の区別はさして明確ではなく、それに付随して起こる事後共犯の成否や時効の成否、正当防衛の合法性の問題も通説的に十把一絡げに判断するのは妥当ではないと言うだけで終わっているようだ。*1

おそらく、状態犯か継続犯かという区別からのアプローチよりも、新たな構成要件の実現・法益侵害の有無に着目する僕のid:atsushieno:20061212のようなアプローチの方が、妥当なんだろうなと思う(自画自賛)。当該エントリでも言及しているけど、島田聡一郎の議論にもおそらくマッチするし、上記林論文で言及されているフォーグラーの解釈にも適合するだろう:

フォーグラーは刑法はすべての因果的法益侵害を処罰しようとするのではなく、構成要件の範囲内でなされる法益侵害のみを処罰しようとするのであり、既遂と終了の間の態度について一般的に可罰性を根拠づける機能を認めることは、構成要件行為以外の因果的周辺領域も一般に可罰的と信じていた時代に戻ることになるとする。
行為者の態度は、文言及び実質上の許される解釈によって各構成要件に結びつけられる場合にのみ可罰性を根拠づけうる。

*1:もちろん「分からないと言う事が分かった」という結論を出すための研究には、大きな意味がある。