ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

自殺情報と自殺の増加に相関関係は無い

ほうほう。
http://slashdot.jp/it/article.pl?sid=08/04/12/2223220

といっても、「自殺を支持するもの」の定義は判然としない。というわけでランキング1位のサイトをまず眺めてみた。


==LEGAL
This file is provided for the purposes of amusement, and the actual use of any of these methods is not recommended without first considering other possibilities, such as dying of old age. Please do not pass it onto people whom you know to be actively suicidal.. you may find yourself in jail for considerable periods. I have a small amount of info on British law regarding assisting suicides; feel free to ask me for a copy. Basically, distribution to a number of unknown people is fine, but giving it to someone whom you know is actively considering suicide can get you into jail for up to 14 years.

イギリスでも自殺関与に関する罪は日本と変わらない構成のようだ。

この後には、海外の自殺防止ホットラインの連絡先なども列挙されている。それにも関わらず、この報告書ではこのサイトをpro-suicideと分類しているようだ。これがpro-suicideでwikipediaがneutralになる理由は判然としない。イギリスは日本と同様に安楽死の法的な位置付けは微妙なところだから(安楽死を認めた判例もある: 例& )、死の安楽さを評価するような記述を全てpro-suicideとしているのかもしれない。

さて、自殺関連情報が自殺を促進しているかどうかという観点では、この報告書の主観的評価なんて比較的どうでもいい話である。(ただし「自殺関連のキーワードで検索すると自殺を促進するサイトに繋がる」というこの報告書の結論には問題がある。)

というわけで本題は、自殺関連情報が自殺を促進するか否かである。

しばらく前にMIAUで話をしていた時に、wikipediaの自殺の項目が異常に細かいんだというネタが出てきた。

で、実際に自殺って増えているの?という部分は当然検証しなければなるまい。というわけで警察庁発表資料のグラフを見つけてきた。

http://www.t-pec.co.jp/mental/2002-08-4.htm

…ここ数年、全然増えてませんよ??

自殺者は1998年に急激に増加しているが、これはどうやらアジア通貨危機による不況が原因だと考えられているようだ(たとえばこちら)。正確には不況による失業なのだろう(上記リンク先のグラフを見ても、自殺者の職業も無職が圧倒的に多い。会社員が多いのは人口から考えて当然)。バブル崩壊当時に自殺者が増大した様子は見られない。

で、「完全自殺マニュアル」発行時はどうだったのかという話が出てきた*1。同書が発行されたのは平成5年。自殺者はむしろ減少している。正確な知識の供給が、かえって自殺を妨げた… というよりは単に誤差の範囲内であって、相関関係はないということだろう。

とりあえずここまで。

*1:今の若い人は知らないかもしれないけど、こういう本が流行って社会現象になったことがある。僕も友人に借りて凍死が楽でいいのかぁとか思った記憶がある。