ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

「自転車事故の増大」を吹聴することで得られる利権について

国土交通省警察庁が連名でWebアンケートのようなものを行っているが、
http://road-safety.jp/

アンケート全文に右クリック禁止のJSを組み込むなど、情報技術の認識に多大な疑問を感じる部分をおいて*1、(1)ポップアップで表示される「参考情報」に規制バイアスがかかりまくっていたり、(2)参考情報はリロードするたびに内容が変わるため、均等な回答を得るという適正な調査にならない、(3)「必要だと思う規制」を不必要に3つ以上回答させるなど*2、最初から「調査」ではなく意図的な結論の「誘導」を目的としている悪質なものだ。

さて、そもそも虚偽を用いてでも自転車事故を増大させたがる集団がいるのではないかと思った。一番露骨なのはこのサイト自身が提示している:
http://road-safety.jp/popup02.html

これは要するに、国民の「安全」の名目で道路工事を行いたいから国民も肯定しろ、という主張である。そのため、自転車事故が増大して危険であるという「ストーリー」を作る必要があったのだろう。
http://road-safety.jp/popup01.html

他にも、たとえば自転車保険を宣伝するこのAll Aboutの記事がある。
http://allabout.co.jp/finance/accidentinsurance/closeup/CU20060619A/


自転車事故の増えるワケ


それにしてもなぜ自転車による事故が問題になっているのでしょうか?実際に自転車が関係する事故が問題になっている背景は色々とあるでしょうが、いくつか考えられるものを挙げてみましょう。

  • クルマのような免許制度がない
  • 子供からお年寄りまでさまざまな年齢層の人が乗る
  • 自転車事故に対する危機意識の薄さ

ちょっと考えれば、これらは自転車事故が「増える」原因ではないのであることにはすぐ思い至る。10年前にももちろん免許制度は無かったし、10年間で子供・老人とそれ以外の人口比が4倍もの大きさに見える規模で変わったわけでもないし、事故意識が薄くなったことももちろん無いだろう(むしろ10年前より最近の方が危機意識が大きいのではないか)。「戦後の少年犯罪は急増した」と同様の議論と言えよう。

ここで、ではなぜ事故が実際に増えるのか、という疑問が出てくる。しかし、犯罪統計の操作は難しくない。

たとえば強盗罪(5年以上の重大犯罪)と恐喝罪(10年以下の重大でない犯罪)の境目は、相手の反抗を抑圧するに足る重大な暴行脅迫などの要件の成否にあるが、従来であれば恐喝に問擬してすませていた部分を強盗罪にすり替えるだけで、凶悪犯罪の件数は飛躍的に増大するだろう。また、実行行為が強取であっても、昔は1000円にも満たないアクセサリーを取っただけで強盗として立件されることは無かった。

(…過去の日記を探したら id:atsushieno:20070105 にも書いていた。)

それと同じことが、自転車事故についても言えるだろう。意図的に認知件数を増大している可能性があるだけでなく、そもそもささいな接触事故の類を扱う暇が、昔に比べて今は無駄にあるとは言えそうだ(犯罪件数は減少しているわけだし)。

おそらく、犯罪統計は警察庁が自己都合で行うべきものではなく、外部機関によって客観的基準によって行われるべきなのだろう。

そもそも、この10年間でむしろ規制が増加しているのである。ということは、普通に考えたら規制が筋違いなのではないか。

そもそも、事故は危険の可能性に比例して増大するのが通常であろう。素の意味では、むしろ自転車を(法律上)車道においやったことで、運転中の危険回避の必要性を増大させ、急いで歩道に回避したことで接触事故が生じた、等の事故増加原因があってもおかしくない。

同様に「雨が降っても傘をさすな」という法律は、むしろ「急いで家に帰る」等の行動につながり(これは違法でも何でもない)、結果的にスリップ事故や接触回避の失敗につながっているのではないかとも思う。当該法改正以降、雨の日の事故件数が増大していないか、検証する価値はあろうかと思う。

そんなわけで、どうも自転車に関する道路交通行政のあり方には違和感を覚えまくるのだけど、僕だけだろうか。

*1:このようなアンケートで情報を隠蔽しようとする目的が分からない。謝罪文が画像になるのと同じで、要するに恥ずかしいからなるべく公開したくない、批判されたくないという意識のあらわれなのだろうか。

*2:ここでもう私はブラウザのタブを閉じたので、その後どんな質問があるかは分からない。この質問に合理的な目的の説明があるなら、ぜひとも見てみたい。