ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

けっきょくサイバー法も…

XForms関係は微妙に暗礁に乗り上げているらしい。ていうかRequirementsがあまり思いつかない。とりあえずXHTMLベースなので、System.Web.UI.Pageとは完全に切り離された、独自のIHttpHandlerで作った方が良いかもしれない、と考えている。そしたらPageParserはXmlTextReaderですむ。ASPディレクティブはprocessing instructionを使って指定できる。これ、そうすると、実はサーバサイドで出来ることって、そんなに大したことじゃない気もしている。XFormControlsを作ったところで、XFormsベースのオーサリングの役に立つとは、ちょっと思えないのだ。あとは…System.Web.UI.WebControlsのXForms焼き直し版?? それは何か気の遠くなるような作業になりそうだ。

というわけで、サイバー法ネタもこっちで書いてみるテスト。

Winny事件について、僕はかねてから「客観的違法性レベルでの線引きが重要であり、京都府警らが主張している主観論中心の議論はナンセンスだ」と主張してきた。そう言う意味で、高木氏の

また、特定事件の裁判所判断に関わらず、また、法規制のある・なしにも関わらず、Winnyと同様の性質を持つプログラムは、倫理的に人々に受け入れられるものと言えるかどうか、言えないとしたら、どの技術要素が原因であるかを明らかにしておくことは、いずれにしても重要なことであろう。

というのは、まさにその通りだと思う。少なくとも無理のある主観的犯罪論で押し通そうとするより、ずっと説得力のある議論ではないか。何はともあれ、まず高木氏の議論を読むべし。

ところで、Winnyの原点であるFreenetも、Winnyと同様にキャッシュの閲覧不可能性が設定されていることは、知られているだろうか? freenet FAQ(和訳)には、次のように書かれている。

私のノードが、児童ポルノ、攻撃的なコンテンツ、テロリズムをかくまったり、著作権所有の資料の格納にも使用されたくありません。どうすれば良いのでしょうか?

あなたがFreenetノードを実行した場合、どんな情報があなたのコンピュータ上に格納されているか知る方法はありません。その内の幾つかは不愉快なものである可能性もあります。真に言論の自由を信じ主張する人は、意見が一致しない言論や不快極まる内容も許容することであります。受け入れられないものであれば、Freenetノードを実行すべきでないでしょう。

別の方法もあります。 Freenetのコンテンツは、人気度が高いほど入手可能であるので、好きでない情報の人気を制限することはできます。例えば、ファイルの配信を望まなければ、それを要求すべきではなく、ある特定のキーを要求しないように、皆に伝えるべきです。

僕は残念ながらIan Clarke氏の論文を読んだことが無いので、この設計が論文の内容として含まれているか、それについて反論の論文が出ているかは、分からない。ただ、そのような設計にした理由は、これで十分に説明されていると言えるだろう。speechを選り好みさせずに、必要としている人々に届けることがfreenetの目的なのだから。*1

もし僕がファイル共有システムを設計している時に*2freenetの設計を知ったら、これに合わせて設計したくなるだろう。まあ半年や1年もしたら、自分がどういう意図で設計していたかなんて、忘れてしまうだろうけど*3

*1:Winnyにはキャッシュ非暗号化モードのものが作者の手元に存在していたじゃないか、なんていう声が聞こえてきそうだ。作者がデバッグのためにそういうバージョンを持っているのは当たり前のことで、「あれは京都府警の不公正な煽りだ」と言われていた。

*2:最近Miguel de Icazaがmono and bittorrentで面白いことが出来ないか、とmonoのMLに投稿していたとき、僕はBTより独自のプロトコルにして通信セキュリティもある方がいい、と言いたかった。そしたら、download destinationが分散していても、大サイズファイルを、自宅からwebサーバも立てずpull配信型で安全に流すことができるのだから。自分で言い出すと、この業界の法則により、自分でやらなきゃいけないので(w 何も言わなかったけど。

*3:エンジニアってそういうものだろう。ランダムにエンジニアを捜してきて、昔のプロジェクトについて質問してみるといい。資料が手元にあるか無いかだけが重要なのだ