ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

その先にあるもの

数年ぶりに大学の恩師にお会いしてきた。近況報告というとかなり遠慮がちな表現ではあるけれども。最近いろいろ気づいた学問的な問題点について、少し議論してきた。たとえば違法な営業で使用される商標は使用されているとみなされるべきか(7号該当の公序良俗違反とは違う観点であることに注意)。個人的な見解では、不法原因給付について詐欺罪が成立する(とすべきである)のと同じと考えるべきかなと思う。似たような問題で、国外取引のみが行われている商品役務区分を対象とする国内商標は、国内で使用されていると見なされるべきなのかどうか、とか。まだまだdefiniteな答えは無さそうだ。インターネットの「中年化」という言葉を初めて聞いたとき、それには共感するものがあったのだけど、知的財産法の分野はまだまだ中年化していないのかもしれない。あるいは、中年の狡猾さが増してきたということか。
商標法は事前にけっこう勉強していったはずで、実際に会話は全く差し支えることなく進んだのだけれど(残念ながら僕の認識は完全に正しかったということになってしまう)、4条1項19号の不正目的出願に関して、それ以外にも4条1項7号が適用可能だ、と力強く主張されていたのが印象に残った。言われてみると確かにその通りで、本来19号など無くても、昭和大仏事件のように、7号が広く使用されるべきなのであろう。著作権法違反たとえば名誉声望保持権を使うのは、昨日僕もフィッシングサイトを著作権法違反で摘発することを自ら懸念していた事を思い出していたのだけど、法律論としてはやはり正しいものの邪道ではなかろうか、という話だった。

君も何時までもその仕事を続ける訳じゃあ無いでしょう、と言われて少々どきっとした。うーむ、この世界に帰って来いっていうことですか。この歳で再スタートってのは厳しくないですかねえ。最近では法学生にもハッカー的コーディングの出来る人が増えてきているから、僕が戻っていって、貢献できることがどれだけあろうかと思うのですよ。そりゃあ喫茶店よりゃ途が開けているかもしれませんが…。ただ、確かにこの分野における悪事を黙って見過ごしているよりは、その方面に転身して戦う方が良いのかもしれない。義は見たもののせざると言われぬための勇はけっこうでかいっすよ…。