ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

hack the nation

夏の秋葉原には行きたくないですね。あの空気の悪さときたらもう、身体に対する無形力の行使って感じです、はい。*1

そんなわけで今日ネットを眺めていておもしれーなと思ったのはこちら。この辺は前田説が合理的だと思ってたので、けっこう困ったバグが入り込んだという印象です。さて、判例・団藤説を受け容れるには、「一個の行為を二重に評価する」という問題が横たわっていて、さすがに結果的加重犯としての集団強姦致死と、故意犯としての殺人を、別々に評価するというのは、解釈として破綻を導くと思います。車で人を轢き殺す意思で殺した場合、業務上過失致死罪と殺人罪がふたつ成立することはありません。(うーん、比較がいまいちですが、故意と過失、故意と結果的加重、いずれも両立する概念としては不自然でしょう。)

幸いなことに、滅多に法改正されないと言われてきた刑法も、最近ではdevelopment branchに入ってきたようで、バグが混入することも刑法学として前提にして良いと思います。なので、このような現状では、僕は前田説がなお妥当であり、バグフィックスが必要なのは条文であると思います。こういうのって、学者の立場では滅多に言えないよねぇ。

ていうか条文、どう直せば整合性がとれるんだろう。このためだけに殺人罪を6年以上に引き上げるわけにはいかないだろうし。集団強姦致死傷を5年以上に引き下げれば解決する問題なのだけど、一部から非常に強い反発が出てきそうな気がする。しかも感情論で人非人扱いされそうな気がする。こわいこわい。むしろ、刑の上限で問題があるわけではないから、条文は放置しておいて、故意犯(殺意あり)の場合は6年以下の刑罰は課さない、という運用で対応できる問題だという気もしなくはないですね。

刑法ってなかなか難しいですよね。Unit testingも出来ないし、実習も出来ないし。

*1:冷気は財物であるという議論から類推して有形力の行使っていう解釈もあり??