ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

本当に各国政府が求めているMS-Office文書の標準化とは

僕の提案はきわめてシンプルなものだ。

現在膨大な遺産として残されているのは、まだ使われても居ないOOXML形式の文書ではなく、バイナリ形式の既存のMicrosoft Office文書である。だから、本当に各国の国益に繋がる標準化の対象は、レガシーフォーマットとしてのバイナリ文書形式なのだ。だから、これを標準化の対象とすべきだ。

この意義は、競合と見なされる可能性の高いODFという文書形式とは異なり、既に存在するフォーマットの文書について、無理にコンバート作業を要求することなくレガシー形式としての正統性を追認する根拠、つまり政治的正統性を付与することにある。政府としては、今後まだ開発を待たなければならないOOXMLの作業待ちという不安定な状態に陥ることなく、今後の文書形式としてODFを採用しつつ、過去の遺産をそのまま引きずることができる。

現状では旧バージョンのMS Officeが使用されている官公庁がかなり多いだろうから、ここでは5-10年程度の移行期間を設けて、既に使用しているマシンにおけるオフィススイートのインストレーションに基づいて作成された文書は、このレガシー形式と同じ位置付けで扱われるものとみなした方が良いだろう。現実的解決というものである。

Microsoft Officeで提供されている機能の全てを標準化バイナリフォーマット形式に含める必要は無い。OSに依存する埋め込みオブジェクトなどが使用されていなければ、OpenOffice.orgで読み込むことは十分に可能である(そしてほとんどのOffice文書はそのようになっているであろう)。

これなら政治的にもODFと同程度にラフな仕様として各国も規格化に賛成票を投じるのではないだろうか。現在提案されているPDFの標準化についても、同様の枠組みに基づいて論ずることができるはずだ。