ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

雑考

この法案で利益を得るのは誰だろうか。どうも見た感じでは、フィルタリング業者であるように思われる。フィルタリング内容を指定する委員会(「図書館戦争」に近い検閲であることから「メディア良化委員会」とも皮肉られている)は5人で構成されるというモデルになっていて、ここでは大きな外部団体を構成して利益を得るという構造に関心は無いようだ。「なぜ?」とも思える具体的な人数指定は、当該委員会を制御しやすいようにしたものだろう。

実際には、NTT DoCoMoが同性愛をフィルタリングしているような事案については、ADRによって問題が指摘され是正されていくかもしれないが、フィルタリング業者目的は、青少年が「クリーンな」インターネットの中におかれることではなく、自分たちのフィルタリングソフトを導入してもらうことなので構わない。

(ちなみに、この法案ではADRによる紛争調停という発想の根本的な欠点…一方でおそらく規制当局としてはこれ以上ない利点…は、司法権における違憲立法審査権のような制度が存在しないということ。つまり、「委員会」の立てた「基準」が間違っていたとしても、それが是正されるためのルートが存在しない。ADRは民間調停のための機関であるから、委員会基準が間違っていると指摘する存在ではない。法令違憲が指摘できない司法機関にできることは、粛々と適用違憲の判断を下すことしかないのである。)

僕がもし独占的なフィルタリング業者であるとしたら、総務省の審議会でホワイトリストがポシャりそうな空気になった時点で、この問題を議員立法で提案できそうな国会議員を探し出して*1総務省の方向性を根本から覆すように持っていこうとするだろうな。国会議員も、単に踊らされているだけなのではないかと思う。

*1:最初からそこまでのシナリオがあったと考えた方が自然かもしれない