ものがたり(旧)

atsushieno.hatenablog.com に続く

知財本部のパブリックコメント

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/pc/081030/081030comment.html
首相官邸知財本部が本日締切で公開しているパブリックコメントについて、以下の内容で出しておいた。てか、数多すぎだっつの。頃す気かと。

Ⅱ 権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入 12ページ

(概要)
フェアユースの実効性を担保するため、著作権侵害に関する国民審査機関を設置すべきである。
(意見)
フェアユースの一般規定は必要であるということに間違いないが、検討結果にもある通り、フェアユース一般規定が、日本人のリスク回避意識とあいまって積極的に作用しないのでは意味がない。そこで、裁判員制度にならい、著作権者の代表ではない者の中から何らかの方法で選ばれた国民が、権利侵害の主張を審査する機関を設置することを提案する。具体的には、以下のような事件を取り扱う:
・特に著作権に関心のある国民の間で話題となった事件
著作権管理事業者など、著作権処理を業務委託される者が原告となる事件
 (この要件は、著作権侵害訴訟が私法に基づくものであることを鑑みて加えている)
フェアユースを議論する余地のある事件
最後の要件は曖昧でもあるし、実際にはフェアユース関連の事件に限定することなく、幅広く制度として導入すべきであるとも言える。

審査結果については世間に広く公開し、裁判においても判決前にその意見を裁判官に伝えることで、実効性を確保できる。

Ⅲ−4 国際的な制度調和等について 27ページ

(概要)
国民の間で一般的合意のとれていないACTAを推進すべきではない。
(意見)
模造品・海賊版拡散防止条約については、その過剰に広汎な内容について、米フリーソフトウェア財団をはじめ、多数の懸念の声があげられているものである。日本においても、特に主導的な立場で条約を導入しようというのであれば、まず日本国民に対して、その内容につき、パブリックコメントを募集するなど、しっかりと国民に幅広く議論を提示し、声を集約する努力を払うべきである。条約の議論であれば国民の声を訊かなくてよいと考えるのは、ポリシー・ロンダリングに他ならない。

ACTAのポリシー案として、関連法を権利保有者からの訴えなしで執行すること、国内および国境において侵害に関わる「物品と設備」を押収・破壊すること、単一の当事者からの要求により調査し、侵害の容疑者を権利保有者に通知すること、などがあると言われているが、これらは到底国民の間で共通理解があり同意を受けているものであるとは言えない。

また「著作権所有者による技術的な保護措置を迂回する行為に対する救済策および迂回機器の追跡方法」の開発を規制するという案もあるというが、これは米DMCAでも特に評価の低いDRM関係の規定に類似するものである。DMCAの不要な条項の撤廃は、米国では、2008年大統領選の結果を受けて、Webで公開されている「最も求められている制度改革」のうちの3位に上げられている(Webサイト"Obama CTO" http://obamacto.org を参照)。先進国で改革が行われようとしているこの時代に、先祖返りするような条約を検討すべきではない。